「最近、肌の調子や目の疲れが気になる…」
そんなあなたに注目してほしいのがビタミンA。
肌・目・体の健康を支える栄養素で、毎日の食事で上手にとることがポイントです。
今回は、ビタミンAの働きや不足・過剰のリスク、効率よくとるコツをご紹介します。
ビタミンAの主な働き
ビタミンAは脂溶性ビタミンのひとつで、健康維持に欠かせない栄養素です。
皮膚や粘膜、目の働きをサポートし、さらに強い抗酸化力を持つことでも注目されています。
●皮膚や粘膜を守る
皮膚、鼻、喉、消化器などの全身の粘膜を正常に保ちます。
粘膜が健康に保たれることで、細菌やウイルスなどの病原体から体を守り、感染症予防に役立ちます。
●目の健康を支える
光を感じるために必要な網膜の色素「ロドプシン」の材料となり、暗い場所でも見える力をサポートします。
●抗酸化作用
βカロテンは強力な抗酸化作用を持ち、細胞を活性酸素によるダメージから守ります。動脈硬化や肌の老化対策にも役立ちます。
●成長と発達の促進
細胞の分化に深くかかわり、胎児や乳幼児の健やかな成長に欠かせません。
動物性のレチノールは過剰摂取に注意
ビタミンAには、動物性のレチノールと、植物性のカロテノイド(プロビタミンA)の2種類があります。
●レチノール ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
動物性食品に多く含まれ、そのままビタミンAとして働きます。
肝臓に蓄積されやすく、特にレバーに多く含まれます。
通常の食事で問題になることはほとんどありませんが、
過剰にとると体内に蓄積され、頭痛・吐き気・脱毛・筋肉痛・肝機能障害などの症状が出ることがあります。
[主な食品]
レバー(※)、うなぎ、ホタルイカ、ギンダラ、卵 など
※レバーにはビタミンAが非常に豊富に含まれるため、とり過ぎに注意。
●カロテノイド(プロビタミンA) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
緑黄色野菜に多く含まれ、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。
過剰症の心配はほとんどありません。
ただし、カロテノイドをサプリメントでとる場合には、量が多くなりすぎないよう注意が必要です。
[主な食品]
モロヘイヤ、にんじん、春菊、ほうれん草、豆苗、カボチャ、ニラ、小松菜、ケール など
※にんじんジュースや野菜を毎日大量にとると、皮膚が黄色くなる「柑皮症(カロチン血症)」になることがありますが、これは一時的なもので、健康への害はありません。
妊娠初期・小さなお子様・ダイエット中の注意
ビタミンAは肝臓に貯蔵されるため、通常の食事では不足しにくい栄養素です。
しかし、偏食や極端なダイエットによる不足、また妊娠初期の過剰摂取などによって、次のような症状が起こる可能性があります。
ビタミンAが欠乏した場合 - 皮膚や粘膜の乾燥、皮膚炎や感染症にかかりやすくなる
- 暗い場所で見えにくくなる(夜盲症)
- 角膜が乾燥してドライアイの原因に
- 子どもの場合は成長障害を招く可能性がある
妊娠初期の過剰摂取や不足に注意
妊娠初期は、過剰摂取も不足も胎児に影響する可能性があります。
特に動物性のレチノールを過剰に摂取するとリスクが高くなるため、許容上限量(2,700μgRAE/日)を超えないよう注意してください。
油といっしょに調理して吸収率アップ
動物性のレチノールは吸収されやすいですが、とりすぎには注意しましょう。
緑黄色野菜に多いβカロテンは、生では吸収されにくいため、油脂と一緒にとるのがポイントです。
- 油で炒める
- オイル入りドレッシングをかける
- ごまやピーナッツなどで和える
このように、油と一緒に調理することで、吸収率がアップします。
🥕
にんじんは丸ごと調理
βカロテンは皮のすぐ下に多く含まれるため、よく洗って皮ごと使うのが効果的です。
***
ビタミンAは、毎日の食事に少し工夫を加えるだけで上手にとることができます。
油と一緒に調理したり、野菜を皮ごと使ったり——そんな小さな工夫の積み重ねが、あなたの体と健康を守る大きな力になります。
今日の食卓から、ぜひ試してみてくださいね。
【参考文献】
『栄養の基本がわかる図解事典』(成美堂出版)
『正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学』(高橋書店)
『新しい栄養学と食のきほん事典』(西東社)
『いちばんわかりやすい栄養学の基本講座』(成美堂出版)
「ビタミンAの過剰摂取による影響」食品安全委員会(内閣府)
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