「私、食べても太らない体質なの」
そんな言葉を聞くと、うらやましく思う方もいるかもしれません。
実は、太りにくいかどうかには、
体がどれだけ効率よくエネルギーを使っているか、つまり「エネルギー代謝(カロリー消費)」が大きく関わっています。
代謝の仕組みを知れば、今日からできる健康的な体づくりのヒントが見えてきます。
太りにくい体質ってあるの?
太る・太らないは、
摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスで決まります。
「食べても太りにくい」と感じる人は、主に
基礎代謝量が高いことが多いです。
基礎代謝とは、私たちが生きていく上で最低限必要なエネルギーのこと。
1日の総消費エネルギーの約60%を占めます。
基礎代謝が高いと、特別な運動をしなくても多くのカロリーが消費されるため、同じ量を食べても太りにくく感じるのです。
また、基礎代謝は年齢や性別によっても差があり、一般的に男性の方が女性より高めです。
筋肉を鍛えて基礎代謝アップ!
基礎代謝と深く関わるのが
筋肉です。
筋肉は安静時でも多くのエネルギーを消費するため、
筋肉量が多い人はカロリーオーバーになりにくくなります。
年齢とともに基礎代謝は低下し、中年期以降は筋肉量も減少しやすくなるため、意識的に筋肉を鍛えることが大切です。
- ウォーキングや筋トレで筋肉量を増やす
- 特に大きな筋肉(太ももなど)を重点的に鍛える
これだけでも、効率よくエネルギーを消費できる体に近づけます。
必要なエネルギー量を調べてみよう
1日に必要なエネルギー量は、
基礎代謝量×身体活動量で求められます。
●身体活動レベルの目安-
低い:ほとんど座って過ごす(デスクワークなど)
-
普通:座ることも多いが、通勤・買い物・軽いスポーツなども行う
-
高い:立ち仕事や移動が多い。スポーツ習慣がある
●計算方法
表の該当する数字に体重をかけると、1日に必要な推定エネルギー量が簡単に計算できます。
体重1kgあたりの推定エネルギー必要量(kcal/kg/日)
性別 |
男性 |
女性 |
身体活動レベル |
低い |
普通 |
高い |
低い |
普通 |
高い |
6〜7歳 |
59.8 |
68.7 |
77.5 |
56.6 |
64.9 |
73.3 |
8〜9歳 |
57.1 |
65.3 |
73.4 |
53.6 |
61.3 |
68.9 |
10〜11歳 |
54.2 |
61.7 |
69.2 |
50.5 |
57.4 |
64.4 |
12〜14歳 |
46.5 |
52.7 |
58.9 |
44.4 |
50.3 |
56.2 |
15〜17歳 |
41.9 |
47.3 |
52.7 |
39.2 |
44.3 |
49.3 |
18〜29歳 |
35.6 |
41.5 |
47.4 |
33.2 |
38.7 |
44.2 |
30〜49歳 |
33.8 |
39.4 |
45.0 |
32.9 |
38.3 |
43.8 |
50〜64歳 |
32.7 |
38.2 |
43.6 |
31.1 |
36.2 |
41.4 |
65〜74歳 |
32.4 |
36.7 |
41.0 |
31.1 |
35.2 |
39.3 |
75歳以上 |
30.1 |
36.6 |
- |
29.0 |
35.2 |
- |
※筋肉量や生活習慣によって個人差があります。目安としてご利用ください。
※妊娠期・授乳期、乳児・小児は別途調整が必要です。
太りづらい体をつくる食べ方
基礎代謝が高くても、消費以上に食べてしまうと、
余ったエネルギーは体脂肪として蓄えられます。
だからこそ、食事の工夫が大切です。
【意識したい栄養素】
●タンパク質- 筋肉の材料になる
- 消化吸収に時間がかかるので満腹感が続く
(大豆、大豆製品、魚、卵 など)
●食物繊維
- 糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防ぐ
- 食事の最初に食べると太りにくい
- 腸内で、脂肪の蓄積を抑える「短鎖脂肪酸」に変わる
(玄米、おから、きのこ、海藻 など)
●ビタミンB群
- ビタミンB1:糖質を燃やすのに必要
- ビタミンB2:脂質を燃やすのに必要
- ビタミンB6:たんぱく質の代謝に必要
- ナイアシン:糖質、脂質、たんぱく質の代謝に欠かせないビタミンB群の仲間
(玄米、大豆、ぬか漬け など)
【食事の時間を意識しよう】
実は、食事をするときもエネルギーは消費されています。
これは、
消化・吸収や代謝によって熱が発生する「食事誘発性熱産生」と呼ばれ、1日の消費エネルギーの約10%を占めています。
特に、たんぱく質を多く含む食事ではこの熱産生が高くなり、夜遅い食事では低下してしまうことがわかっています。
そのため、使い切れないエネルギーを脂肪として蓄積させないためには、
夕食は軽めにするのが合理的です。
さらに、
よく噛んでゆっくり食べることで満足感も得やすく、食べ過ぎの予防にもつながります。
***
「太りにくい体質」は、生まれつきだけでなく、日々の生活習慣で育むことができます。
- 適切な運動で筋肉量を増やす
- 腸内環境を整える食事を心がける
この2つを意識することで、健康的でエネルギーを効率よく使える体を目指しましょう。
【参考文献】
『いちばんわかりやすい栄養学の基本講座』(成美堂出版)
「エネルギー」日本人の食事摂取基準 2025年版(厚生労働省)
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