私たちの腸には、乳酸菌やビフィズス菌といった「善玉菌」をはじめ、たくさんの腸内細菌が住んでいます。
その数は100兆個に及ぶといわれています。
人体を構成する細胞数は30〜50兆個なので、腸内細菌の方が圧倒的に多いことになります。
これらの菌たちは、私たちの健康を支えてくれる大切な存在です。
腸内細菌ってどんな働きをしているの

ヒトの腸内には、多い人で約2,000種類、平均すると700〜800種類の腸内細菌が生息しており、善玉菌だけでなく、有害物質をつくる悪玉菌や、善玉菌にも悪玉菌にも属さない、環境によって働きが変わる日和見菌もあります。
ちなみに日本人の腸内にはビフィズス菌が多いのが特徴で、平均すると腸内細菌の約15%を占めるといわれています。
これらの
腸内細菌は、食物繊維やオリゴ糖をエサにして、短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸)などの健康に役立つ成分を作り出しています。
この短鎖脂肪酸によって腸内が弱酸性に保たれ、悪玉菌の増殖が抑えられます。
また、機能性が注目される「γ-アミノ酪酸(GABA)」は、玄米や発酵食品、トマト、カボチャなどの食品にも含まれますが、腸内で乳酸菌やビフィズス菌が生み出す代謝物の一つでもあります。
食物繊維を分解する「糖化菌」も忘れずに
腸内細菌が短鎖脂肪酸を生み出すには、乳酸菌やビフィズス菌だけでなく、さまざまな菌たちが協力し合うことが必要です。
まず、
腸に届いた食物繊維や多糖類を分解し、糖類を作り出すのが「糖化菌」です。
糖化菌には、主に「
納豆菌、麹菌、酵母」があります。
これら糖化菌が食物繊維を分解して作った糖を材料に、乳酸菌は乳酸を、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を生み出します。
さらに別の菌の働きによって乳酸や酢酸からプロピオン酸や酪酸が作られます。
つまり、
食物繊維を分解してくれる糖化菌が不足すると、乳酸菌やビフィズス菌が働きにくくなってしまうのです。
「糖が善玉菌のエサになるなら、甘いお菓子を食べればいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、糖は小腸で吸収されてしまうため、大腸にいる善玉菌のエサにはなりません。
毎日の食事で善玉菌を応援しよう
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、みそ、ぬか漬け、甘酒、納豆、キムチ、ヨーグルトなどの身近な発酵食品からとることができます。
善玉菌のエサとなるプレバイオティクス(玄米、野菜、豆類、オリゴ糖など)、食物繊維を分解してくれる糖化菌(納豆菌、麹菌、酵母)を、乳酸菌やビフィズス菌と同時にとることで、これら善玉菌の働きがぐっと高まります。
気を付けたいのが、肉類や魚介類、卵、乳製品などの動物性たんぱく質や脂質が多い食事の取り過ぎです。
動物性食品が多い食事に偏ると、有害な物質を生成する悪玉菌が増えてしまいます。
毎日の食事に発酵食品や食物繊維を少しずつ取り入れて、善玉菌を応援してあげましょう。
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腸内細菌が元気だと、体も心も軽やかな気がしますよね。
見えないところで頑張ってくれている「善玉菌」たちに感謝しながら、腸が喜ぶ食事を意識してみませんか?
【参考文献】
國澤 純『9000人を調べて分かった腸のすごい世界』(日経BP)
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