食品廃棄の問題についてニュースで見聞きすることも多いですよね。
皆様も、料理の作りすぎや賞味期限切れ、野菜の傷みなどで、「もったいない」と思いつつ捨ててしまった経験があるのではないでしょうか。
今回は、こうした“食品ロス”がもたらす問題についてご紹介します。
食品ロスとフードロスの違い
日本では、「食品ロス」と「フードロス」がほぼ同じ意味で使われることもありますが、実は少し違いがあります。
海外で「フードロス」といった場合は、生産・加工・流通の過程で出る廃棄物(例:加工時に出た骨、輸送中に割れた卵など)を指すのが一般的です。
一方で、日本でいう「食品ロス(フードロス)」は、「まだ食べられるのに捨てられてしまう食品」のことを指します。
たとえば、以下のようなものです。
●家庭:
食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、皮の剥きすぎ(過剰除去)など
●コンビニ・スーパー・飲食店:
売れ残りや期限切れなど
食品ロスの現状と日本の食料自給率
日本の食品ロスは、年間約472万トンにも上ります。
これは、大型トラック(10トン車)約1,290台分の食品が、毎日廃棄されている計算です。
一人あたりに換算すると、日本人1人が毎日おにぎり1個を捨てていることになります。
この10年で食品ロスは減少傾向にあるものの、依然として多い状況が続いています。
一方、日本の食料自給率(カロリーベース)は令和5年度で38%と低く、2000年代以降ほぼ横ばいで推移しています。
輸入に頼りながら、多くの食品を廃棄しているという現実は、環境や経済にとって大きな負担です。
食品ロスを減らすには、ひとりひとりの小さな行動から
食べ残しを減らす- 食べきれる量を考えて調理・注文し、美味しいうちに食べ切りましょう。
野菜の皮を剥きすぎない- 野菜の皮には栄養が豊富。剥きすぎに注意しましょう。
- 「一物全体食」という考え方もあり、皮ごと食べることで食材の栄養を丸ごといただけます。
手つかずの食品を減らす- 食材を余らせないよう、買い物前に冷蔵庫の中身をチェックする習慣をつけましょう。
食品加工の副産物を活用する- おから(豆腐や豆乳の副産物)は、食用としての利用率が1%未満とまだ少ないですが、食物繊維など栄養が豊富に含まれています。乾燥させたおからパウダーも市販されており、お菓子作りや料理に手軽に取り入れることができます。
- 野菜の皮や芯(にんじん・大根・キャベツなど)は、ベジブロス(野菜の出汁)としてスープに使ったり、乾燥させてふりかけやお味噌汁の具として活用したりできます。
※ベジブロスとは、野菜の皮やヘタなどを煮出して作る、栄養たっぷりの野菜出汁のことです。
その他の工夫- 外食では食べきれる量を注文し、ご飯の量を調整するなどの工夫を。
- 宴会では食べ残しが多くなりがち。お開き前に食事の時間を設け、食べ残しが出ないよう配慮しましょう。
- お店では、手前にある(期限の早い)商品から選びましょう。廃棄を減らすことにつながります。
- 家庭菜園や豆苗の再生栽培など、小さな「育てる」体験もおすすめです。
- 魚や肉、野菜など、命をいただいていることに感謝する心も大切に。
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日本は多くの食料を海外から輸入する一方で、大量の食品ロスを出しているという課題を抱えています。
「もったいない」の心を大切に、できることから少しずつ取り組んでいきましょう!
【参考文献】
食品ロスを減らそう!今日からできる家庭での取組(政府広報オンライン)
β−日本の食料自給率(農林水産省)
食品ロス量の推移(平成24〜令和4年度)(農林水産省)
井出留美『捨てられる食べものたち』(旬報社)
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