【監修】医学博士 根本英幸
株式会社コーケン 研究開発部部長
(玄米酵素グループ)
近年、ポストバイオティクスの研究が進み、新しい健康効果が明らかになっています。
プロバイオティクスやプレバイオティクスという言葉もありますし、何が何だか混乱してしまいますよね。
今回は、それぞれの違いについて解説し、さらに腸を健康に保つための情報をお伝えいたします。
そもそもバイオティクスって何?
「バイオティクス」は、生物活動や生命現象全般を指す言葉ですが、近年では、
腸内細菌や健康に関連する微生物や、その関連物質を指す総称として使われることが増えてきています。
適切な量を摂取した際に、ヒトの健康に有益な効果をもたらすもので、特にプロバイオティクス、プレバイオティクス、ポストバイオティクスの3つが注目されています。
さらに、プレバイオティクスとプロバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスという言葉もあります。
プレバイオティクス … 腸内細菌のエサとなるもの
プロバイオティクス … 生きた微生物(乳酸菌など)
シンバイオティクス … プレとプロを合体したもの
ポストバイオティクス … 腸内細菌の代謝物と死菌体
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また、それぞれ腸内の活躍する場所も異なります。
小腸
生きている菌は少ない環境
小腸は、プロバイオティクスや死菌体(ポストバイオティクス)の効果が発揮される
大腸
多種多様な腸内細菌が生きており、発酵や腐敗が起き、ガスも発生する環境
発酵産物(ポストバイオティクス)をエネルギー源として吸収
○○バイオティクスの特徴と代表例
プレ・プロ・ポストバイオティクスの、それぞれの特徴と代表的な微生物や食品、成分をご紹介いたします。
●プレバイオティクス
人が分解・吸収できない食品成分のうち、腸内細菌の栄養源となり増殖・活性を助け、腸内細菌叢のバランスを維持・改善してくれるもの。
- 食物繊維 ※特に、水溶性のペクチン、マンナン、アルギン酸(リンゴ、コンニャク、海藻など)
- オリゴ糖(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖)
●プロバイオティクス
生きて腸に到達できる有用な微生物のことで、健康に有益な作用をもたらすもの。ヨーグルトや発酵食品が代表例です。
●シンバイオティクス
プレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に摂取できる食品・飲料のこと。
- オリゴ糖入りヨーグルト
- 植物性の発酵食品(味噌、漬物、納豆、甘酒など)
●ポストバイオティクス
健康に良い効果をもたらす、腸内細菌が代謝・生産した物質や、死んだ菌体(微生物)そのもののこと。
- 乳酸菌類の死菌体
- 細胞外多糖類(EPS)
- 短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、乳酸など)
- GABA
健康な腸をつくるためのチェックポイント!

健康な腸をつくるために、これらのことを意識してみることをおすすめします。
- プレ・プロバイオティクスを意識しましょう
- 発酵食品をうまく利用しましょう
- ポストバイオティクスはあまり意識しなくてもOK
- 便を観察しよう(変化があったら食事やストレスを見直しましょう)
- トイレはあまり我慢しないようにしましょう
便で腸の健康状態を確認する時は、以下のことをチェックしてみましょう。
✅ いつもの色と同じか
✅ いつもの形と同じか
✅ いつものにおいと同じか
✅ 出してすっきりしたか
✅ いつもの時間(頻度)に出たか(ペースは人それぞれ)
腸に関するよくあるご質問
Q. 便秘なのですが…
A. 便の状態は、食事量や腸の通過時間によって個人差があります。
大切なのは、規則的にすっきりと排泄できているかどうかです。
自分の腸の通過時間を知っておくと、健康管理の参考になります。
健康的な便の水分は75%前後。水分量が少なくなると便秘になってしまいます。
しかし、水を飲むだけでは便秘の改善にはつながりにくいとされています。
便の水分を保持する食物繊維やプロバイオティクスを積極的に摂取することが大切です。
また、排便時の姿勢も影響するため、前かがみ(いわゆる「考える人」のポーズ)を意識するとスムーズに排泄しやすくなります。
さらに、腹筋が弱いと便を押し出す力が不足しがちなので、軽い運動を取り入れることもおすすめです。
┈••✼••┈
Q. おならが臭いのですが…
A. おならの大部分は、食事の際に飲み込んだ空気で構成されており、基本的には無臭です。
しかし、腸内細菌が食べ物を発酵・腐敗させることで発生するガスには、臭いが伴うことがあります。
特に、
肉や油脂、お菓子を多く摂取すると、腸内の悪玉菌が増え、臭いの強いガスを発生させることがあります。
また、おならや便に含まれる成分の一部は、大腸で血液に吸収され、最終的に呼気や汗として体外に排出されて口臭や体臭の原因となることもあります。
┈••✼••┈
Q. 結局、腸活には何がいいのか迷ってしまう
A. 腸活には発酵食品がおすすめです。
味噌や漬物など、
食物繊維やオリゴ糖を含む食品は、腸内細菌を育てるのに役立ちます。
ただし、腸内細菌の種類は人それぞれ異なり、発酵食品との相性も違います。
自分に合う発酵食品を見つけるには、まず
2週間ほど継続して試し、体調やお通じの変化をチェックしながら判断するとよいでしょう。また、摂取した微生物は腸内に定着せず、便と一緒に排泄されるため、継続的にとることが大切です。
無理なく続けられるよう、価格や味の好みも考慮しながら、自分に合った腸活を選びましょう。
***
腸の健康は全身の健康につながります。
発酵食品や食物繊維をとるようにしたり、毎日便の状態をチェックしたりすることで快適に保ちましょう。
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