2024年から花粉情報の表示ランクが改定され、新たに「極めて多い」というランクが追加されました。
現在、日本ではスギやヒノキなどの花粉症に悩む人が4割を超え、花粉症による生産性の低下による経済的損失は、1日あたり2,000億円を優に超えると試算されています。
花粉症の症状が強いと外出や勉強、仕事などに支障をきたし、生活の質が低下してしまいます。
改めて、花粉症の原因を理解し、できることから対策を始めましょう。
花粉症を発症する人が年々増えている理由

花粉症は、花粉が原因で引き起こされるアレルギーの一種です。
主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙目などがあります。
これは、体の免疫機能が花粉を異物とみなし、排除しようと過剰に反応することで起こります。
重症の場合、微熱や倦怠感、皮膚のかゆみといった全身症状が出ることも。
花粉症の原因となる花粉は約50種類あり、スギやヒノキのほか、イネ科の植物やブタクサなども含まれます。
花粉症を発症する人が増えている要因として、次のようなものが考えられています。
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花粉の飛散量の増加
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食生活の変化
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腸内細菌の変化
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環境汚染物質の影響
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喫煙やストレス
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都市部における空気の乾燥
対策としては、薬を使用する対処療法が一般的ですが、
日頃から体のバランスを整えることも症状の軽減につながります。
腸内環境が花粉症を左右する?
腸は、口から入った病原菌が体内に侵入しやすいため、全身の免疫細胞の約70%が集中しています。
特に小腸では、乳酸菌やビフィズス菌が免疫力を直接高める働きをし、免疫細胞の数も大腸より圧倒的に多いとされています。
小腸のパイエル板には免疫の司令塔であるT細胞があり、Th1細胞とTh2細胞の二種類が存在します。
Th2細胞は異物に対してアレルギー反応を起こし、Th1細胞はそれを抑制する働きを持ちます。
花粉症の症状が出ているときは、Th2細胞が過剰に働いている状態です。
その一因として、
動物性タンパク質や脂質の影響が考えられます。
これらが十分に消化されず腸に届くと、悪玉菌が増殖し、腸壁を傷つける腐敗物質が発生します。
その結果、Th2細胞の暴走が加速し、花粉症の症状が悪化してしまうのです。
また、小腸だけでなく、大腸内のTreg細胞や腸内常在菌も免疫調節に重要な役割を果たしています。
花粉症を防ぐ&悪化させないために

花粉症の発症には免疫機能の異常が関係しているため、正常に保つために
食事や生活習慣を整えることが重要です。
食事で体を整える- 腸内環境を整える食物繊維、オリゴ糖が豊富な食品をとる
- 抗酸化作用のある栄養素(ビタミンA・C・E)をとる
- n-3系油脂(α-リノレン酸、EPA、DHA)を適量とる
- ミネラルバランスの良い食品をとる
\さらに詳しく知りたい方はこちら/
●カラダのためのケアごはん
お悩み・目的別 食事法「花粉症」
▼控えたい食品- n-6系の油脂(リノール酸)
- トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング)
- アルコール、強い香辛料
- 動物性食品、砂糖、アクの強い食品、冷たいもの
生活習慣を整える- 質の良い睡眠をとる(睡眠不足に注意)
- 規則正しい生活を心がける
- 花粉の多い時間帯(昼前後、夕方)の外出を避ける
- 適度な運動を取り入れる
粘膜を健康に保つ- 風邪をひかないように注意する
- たばこを控える
- 過度な飲酒を避ける
花粉を避ける・取り除く- マスクやメガネの着用
- 外出後の手洗い、うがい、洗顔
- 衣類についた花粉を払う
- こまめな掃除や換気
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花粉症は日常生活に大きく影響を及ぼしますが、適切な対策をとることで症状を軽減できる可能性があります。
ぜひ、できることから取り入れてみてください。
【参考文献】
花粉症環境保健マニュアル2022(環境省)
『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社)
お悩み・目的別 食事法「花粉症」(カラダのためのケアごはん)
花粉症で悩む皆さま!早めの治療や予防行動を!(政府広報オンライン)
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