体調を整えるためにはバランスの良い食事や適度な運動が重要ですが、意外と見落としがちなのが「口腔ケア」です。
実は、口腔内の健康状態が全身の健康にも大きく影響することをご存じでしょうか。
特に冬は乾燥が進み、ウイルスが蔓延しやすい環境になるため、口腔ケアを徹底することが、感染症対策にもつながります。
口腔ケアはどうして大切?
口腔内の健康を保つことは、全身の健康を守るうえで欠かせません。
特に歯周病菌は、毛細血管から体内に入ることで、さまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。
なかでも糖尿病は歯周病との間には双方向的な関連があると言われています。
さらに、口腔内が不衛生な状態だと、細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなり、感染症のリスクが高まります。
虫歯や歯周病は、言わば口の中の「小さな傷」でもあります。
知らないうちに出来て進行し、そして口の中には常にたくさんの菌がいること。自覚症状が出るころには、症状が進んでいたり、菌が体内に侵入してしまっていたりするのです。
歯周病を予防・治療することで口腔の健康を維持することは、健康維持のためにとても重要といえるのです。
今日からできる口腔ケアのポイント
歯と体の健康を守るためのポイントをご紹介いたします。
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正しいブラッシング
歯と歯ぐきの間の歯垢を、適切な力加減で丁寧に磨いてしっかり取り除きましょう。
歯ブラシは小刻みに動かし、奥歯を磨く時は大きく開かず「い」の口で。
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フロスや歯間ブラシの活用
歯と歯の間の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシの使用が効果的です。
毎日、もしくは2日1回はフロスを使ってキレイにしましょう。
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舌のケア
舌苔(ぜったい)は、口の中の細菌、はがれ落ちた上皮、唾液成分などがたまって苔状になったもの。専用の舌ブラシで舌を掃除して舌苔を落とすことも効果的です。
頻繁にしたり、力を入れすぎたりすると舌が傷つきますので注意しましょう。
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糖分の多い飲み物に気を付ける
口腔内のpHバランスを崩し、虫歯のリスクを高める可能性があります。
飲んだ後は軽く口をゆすぐ習慣をつけることがおすすめです。
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タバコや過剰なアルコールを控える
歯周病には、喫煙や飲酒などの生活習慣が深く関わっていることが明らかになってきたことから、生活習慣病のひとつと考えられています。
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バランスの取れた食事を良く噛んで食べる
栄養バランスの良い食事は、歯や歯ぐきの健康維持に寄与します。
また、よく噛むことで唾液が分泌され、消化を助けるだけでなく、口腔内を清潔に保つ働きがあります。
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定期的な歯科検診
定期的な歯科検診は、口腔内の健康維持に重要です。
かかりつけの歯科医師に相談してみましょう。
冬の乾燥・ウイルス対策
寒い季節は空気が乾燥し、唾液の分泌量が減少しがちです。
唾液には、細菌やウイルスの増殖を抑える作用や、口腔内の粘膜を保護する役割がありますが、乾燥によってその働きが低下すると、虫歯や歯周病、さらには感染症のリスクが高まります。
対策として、
まずは水分補給を意識しましょう。
特に、冷たい飲み物よりも常温の水やカフェインを含まないお茶がおすすめです。
また、
食事の際はよく噛むことで唾液の分泌を促進するのも効果的です。
さらに、室内の湿度管理も重要です。
加湿器を使用して、湿度を50〜60%に保つと、口腔内の乾燥を防ぐだけでなく、ウイルスの侵入を防ぎやすくなります。
基本的なケアとして、
こまめな「うがい」と「歯磨き」に加え、手洗いを徹底することも忘れずに。
特に歯磨きの際は、歯だけでなく舌を専用の舌ブラシでやさしく掃除することで、口腔内の清潔を維持しましょう。
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口の健康は、心と体を支える大切な土台のひとつです。
毎日の少しの心がけが、健康を守る大きな力になります。
日々の口腔ケアを意識して、健康で充実した毎日を過ごしましょう!
【参考文献】
e-ヘルスネット「口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連」(厚生労働省)
iiha-からだの健康、お口から- (厚生労働省)
広報誌「厚生労働」2022年6月号(厚生労働省)
口からはじめる生活習慣病予防(厚生労働省)