日頃から肩こりや腰痛、冷えなどを感じていませんか?
もしかすると、血管のしなやかさが失われ、血流が悪くなっているのかもしれません。
血管は加齢とともに厚く硬くなりやすく、食事や生活習慣が乱れると動脈硬化が進行し、さらにリスクが高まります。
そこで今回は、血管の健康を保つためのポイントをご紹介します。
動脈硬化とは:原因とそのリスク
動脈硬化とは、動脈の壁が厚く硬くなり、しなやかさを失った状態をいいます。
血管の内皮細胞が傷つくと、そこから内膜にコレステロールが入り込んで蓄積され、脂質が沈着し「プラーク」と呼ばれる塊を作ります。
血管が狭くなるため、血液がスムーズに流れにくくなるだけでなく、心疾患や脳卒中など命に関わる病気につながる可能性があります。
動脈は加齢とともに弾力性が失われて硬くなるものなので、誰にでも起こります。
しかし、喫煙習慣や糖尿病、高血圧などが重なると年齢以上に硬化が進みます。
【動脈硬化の主な原因】
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脂質異常: 血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えると、血管壁にプラークがたまり、動脈硬化を引き起こします。
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高血圧: 血管に強い負担がかかり、内側の細胞が傷つくことで進行します。
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糖尿病: 高血糖が血管にダメージを与え、動脈硬化を加速させます。
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喫煙: タバコは血管内皮を傷つけ、動脈硬化のリスクを増加させます。
生活習慣をチェックしてみましょう!
現代の欧米型食生活や運動不足が原因で、血管年齢が実年齢を上回る人が増えています。
以下のNG生活習慣に当てはまらないかチェックしてみましょう。
□ インスタント食品や菓子類をよく食べる
□ 丼もの、カレー、ラーメンなどの単品料理が多い
□ 魚より肉を食べることが多い
□ 揚げ物を好む
□ 毎日お酒を飲む
□ 喫煙習慣がある
□ ストレスが多い
□ デスクワークが中心で運動習慣がない
□ 睡眠不足
上記のいくつかが当てはまる場合は、血管の健康に影響を及ぼしている可能性があります。
血管を健康に保つためのポイント
血管のしなやかさを保つために大切なことは、食生活全体のバランスを整えること。
日常生活の中で取り入れやすい、血管の健康を保つためのポイントをいくつかご紹介します。
@糖分・脂肪分・塩分の過剰摂取を控える
糖分や脂質のとりすぎは肥満やメタボリックシンドロームを引き起こし、血管のしなやかさを失わせます。
砂糖を多く含む菓子類や清涼飲料水を控え、主食(穀類)は減らしすぎないようにしましょう。
日本人は高血圧による動脈硬化が多いので、塩分のとり過ぎにも注意が必要です。
塩分を排出する効果のあるカリウムを多く含む食品(ほうれん草、トマト、じゃがいもなど)や、マグネシウムが豊富な食品(小魚、ひじき、ごま、アーモンドなど)が不足しないようにしましょう。
Aたんぱく質をとってNO(一酸化窒素)を増やす
血管の内側を覆う細胞から分泌されるNO(一酸化窒素)には、血管をしなやかに広げたり、プラークを予防したりする作用があります。
アミノ酸から作られますので、たんぱく質(大豆、大豆製品、魚介類など)を不足させないようにしましょう。
ただし、たんぱく質が過剰になると、肝臓、腎臓に負担がかかります。
肉食は控えめにし、大豆や大豆製品を中心に適量を取りましょう。
B 抗酸化作用を活用する
動脈硬化にはコレステロールの酸化が大きく関わっていると考えられています。
血管のしなやかさを保つには、抗酸化作用のある栄養素を意識しましょう。
- ビタミンA(βカロテン)
にんじん、かぼちゃ、ほうれん草 - ビタミンC
キャベツ、大根、れんこん、ブロッコリー、小松菜 - ビタミンE
玄米、大豆、大豆製品、ごま、アーモンド - ポリフェノール
クロロゲン酸…春菊、ナス、ブロッコリー、じゃがいも、ごぼう など
フィチン酸、γ-オリザノール、フェルラ酸…玄米、玄米発酵食品 など
イソフラボン、サポニン…大豆、小豆など
カテキン…緑茶、紅茶 など
C 血液をサラサラに
血栓を防ぐために血液をサラサラにすることは、血管の老化を抑えることにつながります。
水分が不足しないよう気を付けましょう。特に冬場は水分補給がおろそかになりがちなため、注意が必要です。
また、いわしやさばに含まれるDHAやEPAは、血栓を防ぎ、LDLコレステロールを減らす効果があります。
さらに、血中コレステロール値を下げる働きのある食物繊維を積極的にとることも効果的です。
D 生活習慣も見直そう
- 運動… 適度な運動は、血管の健康にも効果大。ストレッチをすると血流がよくなり、血管もしなやかになります。
- 睡眠… 睡眠不足にならないように気をつけましょう。
- お酒… アルコールの過剰摂取も動脈硬化のリスクを高めます。適量を守りましょう。
- 喫煙… タバコに含まれる化学物質は血管の内側を傷つけ、プラークがつくられやすくなります。
- ストレス発散… 精神的に常に緊張を強いられた状態にあると血圧や血糖値が上がり、血管に負担がかかります。
年末年始の血管リスクに備えよう!
年末年始は楽しい時期ですが、暴飲暴食や寒暖差など、血管にとってリスクが高まる時期でもあります。
この時期、体への負担を軽減し、血管を守るために心掛けたいポイントをチェックしておきましょう。
●おせち料理の塩分・糖分管理
おせち料理は保存性を高めるために塩分や糖分が多めのものもありますが、出汁を使ったり、酸味や香りで味を調整したりすることで、塩分を減らすことができます。
美味しく、かつ健康的におせちを楽しむ工夫をしましょう。
●アルコールの適量を守る
年末年始の集まりでアルコールをとる機会が増えることが多いですが、飲み過ぎないように心掛け、適量を守ることが大切です。
体調に合わせて、楽しいひとときを過ごしましょう。
●寒暖差による影響を避ける
寒暖差による「ヒートショック」を防ぐため、室内の温度管理や衣類で体温調整を心掛けましょう。
暖房をうまく使って、急激な温度変化を避けることが重要です。
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血管は見えないからこそ、日頃のケアが大切です。
少しでも意識して血管のしなやかさを保ち、内側から健康な体をつくりましょう!
【参考文献】
一般社団法人 日本温活協会 監修『温活検定公式テキスト 冷え知らず先生が教える温活百科』(ワン・パブリッシング)
『正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学』(高橋書店)
加藤初美『「いつまでもキレイ」と言われる人がやっている 美人をつくる食事 食べて、痩せる! 健康になる!』(徳間書店)
安保徹『今すぐできる! 免疫力を上げる31のルール』(学研プラス)
『からだにおいしい 野菜の便利帳』(高橋書店)
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