最近、食事を取ったはずなのに急に疲れたり、イライラしたりしたことはありませんか?
これらの症状、実は「低血糖」が原因かもしれません。
低血糖は日常生活において見落とされがちな健康のサインです。
今回は低血糖の危険性と対処法、予防のポイントをお伝えします。
低血糖はこんな時に起きやすい
血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が低くなった状態のことを「
低血糖」といいます。
通常であれば、食前の血糖値の値は約70〜100mg/dlの範囲ですが、何らかの原因で血糖値が下がると症状が現れます。
低血糖は、早朝の空腹時、昼食前、タ食前、就寝時、とくに食事の時刻が遅れたときに多くみられます。
食事量または糖質の摂取量が少ない時も低血糖を起こしやすくなります。
また、食事とは関係なく、長時間運動した時にも起こりやすくなるほか、医薬品によって引き起こされる場合もあります。
※低血糖の症状が現れる血糖値は一定ではなく個人差があり、普段の血糖が高い場合は血糖値が70mg/dl以上であっても症状が現れることがありますし、血糖値が70mg/dlになっても症状が出ない場合もあります。
重症化すると危険な低血糖
低血糖の症状には個人差があり、自分がどんな症状が出やすいか知っておくことが大切です。
繰り返し低血糖を経験することにより、前ぶれなく簡単に起こり重症化することがあるので注意が必要です。
●自律神経症状(警告症状)
初めは強い空腹感、軽い脱力感(気がつかないこともある)、発汗、手指のふるえ、熱感、動悸、不安感、悪心
●中枢神経症状(血糖値 70〜50mg/dl)
眠気(生あくび)、強い脱力感、めまい、強い疲労感、集中力低下、眼のかすみ、時間や場所がわからない、元気がない、抑うつ、不機嫌、動作がぎこちない
●大脳機能低下(血糖値 50mg/dl以下)
けいれん、意識消失、一時的な体の麻痺、昏睡
低血糖になってもすぐに対処すれば危険はありませんが、中枢神経症状が数時間以上続くと、稀に脳の重大な後遺症や生命の危険が生じることがあります。
低血糖になった時の対処法
警告症状の時に低血糖に気づいて対処することで重い低血糖を避けることができます。
- ブドウ糖を5〜10g口に入れる。
- 砂糖しかない場合は、ブドウ糖の倍量(10〜20g)をとる。
- ブドウ糖を含む清涼飲料水やジュース(果糖ブドウ糖液糖などの表示があるもの。商品によっては血糖を上げる効果のない人工甘味料が入っているものがあるので事前に確認が必要)を150〜200ml飲む。
15分たっても、低血糖症状が治らない場合
- 再度同じ量を飲む
- 口から取れない状態のときは、砂糖を唇と歯茎の間に塗りつける
※糖尿病の人が低血糖になった場合は、主治医の指示に従って適切に対処してください。
炭水化物を選んで血糖値の上昇を緩やかにしよう
血糖値の乱高下を避けるためには、規則正しく栄養バランスの取れた食べ物・飲み物を選ぶことが大切です。
ポイントとなるのが、「
理想的な炭水化物(糖質・食物繊維)を選ぶ」こと。
●糖質
同じ糖質でも吸収されるスピードが早いものとゆっくりなものがあります。
ブドウ糖などの単糖類は吸収のスピードが速く、でんぷんなどの多糖類はゆっくり吸収されます。
詳しくはこちら
「ペットボトル症候群」という言葉をご存じでしょうか。
甘い炭酸飲料や清涼飲料水など、吸収の早い糖類を含む飲み物を多飲すると、高血糖状態になります。
血糖値が上昇すると喉が渇くため、さらに清涼飲料水を飲むという悪循環に陥ってしまうのです。
急な血糖値の上昇が、急な血糖値の低下につながるため、糖分の取り過ぎには注意しましょう。
●食物繊維
食物繊維には、血糖値の急激な上昇を抑える作用があることが知られています。
食事の際、食物繊維の多い野菜などを先に食べることで、糖質や脂質などの消化吸収を遅らせることができます。
また、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して体の外に排出する働きもあります。
主食はパスタやパンよりも「お米」を選ぶ方が良いでしょう。
特に、玄米は白米より食物繊維が多いのでオススメです。
さらに、お米に含まれる糖質は主にデンプン(多糖類)で、体内で分解されるのに時間がかかるため、食後の血糖値の上昇が緩やかで、腹持ちが良いのが特徴です。
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もしかして低血糖気味かも?と心当たりのある方は、食べるものと食べ方を工夫して上手にバランスをとっていきましょう。
【参考文献】
低血糖(厚生労働省)
糖尿病を治療するために知っておきたいこと 〜 低血糖症状〜(厚生労働省)
嗜好飲料(アルコール飲料を除く)(農林水産省)
お米と健康・食生活(農林水産省)
平成12年第5次循環器疾患基礎調査(厚生労働省)
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