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健康診断ではココを見よう!肝臓の数値の見かた&脂肪肝対策
2024年07月12日

健康診断ではココを見よう!肝臓の数値の見かた&脂肪肝対策


夏はお祭りやビアガーデンなどの催しが多く、こってりしたものを食べたり、お酒を飲んだりする機会が増える季節でもあります。

しかし、初夏から秋にかけては健康診断を受ける人が増えてくる時期。

健康診断が近くなると、体重管理だけでなく、肝臓やコレステロールの値なども気になることと思います。

今回は沈黙の臓器とも言われる「肝臓」に焦点を当て、肝臓の数値の見方、肝臓疾患の中で最も多いといわれる脂肪肝についてご紹介いたします。



肝臓の数値が基準値内でも問題がある場合も?!



健康診断の結果で、肝臓の数値が基準値内であっても、身体の中で起きていることは異なっています。

肝機能を見る数値には以下の3つがあります。

AST(GOT)
肝細胞をはじめ、腎臓や心筋の細胞内に多く含まれる酵素。
たんぱく質を分解してアミノ酸をつくり、からだの代謝がスムーズに行われるのを助ける。
肝細胞や心筋の細胞内で何かしらの障害が起こると、血液の中にASTが流れ出し、数値が高まる。
保健指導判定値 31以上/受診勧奨判定値 51以上
ALT(GPT)
肝細胞に多く含まれる酵素。AST同様、アミノ酸をつくり代謝を助ける役割を担っている。
肝臓や胆道に障害が起こると敏感に反応し、血液中の数値が高くなる。
保健指導判定値 31以上/受診勧奨判定値 51以上
γ(ガンマ)-GT(GTP)
肝臓、腎臓、すい臓、小腸などに含まれる酵素。
肝臓でアルコールや薬剤などを無害化する際に重要なグルタチオンという物質の働きを助ける。
アルコールや脂肪分の取り過ぎ、胆汁の分泌に障害がある場合に数値が高くなる。
保健指導判定値 51以上/受診勧奨判定値 101以上

今回注目するのはASTとALTの数値です。

AST、ALTの基準値はおおよそ5〜45。ベストは中央値に近い数値なので、22〜26が理想となります。

できればASTとALTが同じ数値で、差があってもプラスマイナス2までがベストです。

ASTとALTに差がある場合

●AST<ALTの場合、脂肪肝が疑われます。
●AST>ALTの場合、心臓などのトラブル、筋肉の疲労やトラブルが疑われます。

AST、ALTは2つとも酵素で、たんぱく質(アミノ酸)からできています。
そのため、これらの数値が低い場合はたんぱく質不足の可能性も考えられます

また、AST、ALTを作る時の補酵素としてビタミンB6が使われるため、ビタミンB6が不足してもASTやALTを作りにくくなります。

ビタミンB6が不足すると、特にALTの数値が低くなりやすいため、ALTがASTより低い(*1)場合はビタミンB6不足が疑われます。

*1 … 目安として10以上。医師によっては3以上、6以上といった見解もあります。




放っておくと危険な脂肪肝



脂肪肝は、糖分や脂肪のとり過ぎ、アルコールの飲み過ぎなどによって、肝臓に脂肪(主に中性脂肪)がたまった状態をいいます。

無症状のことが多く、症状がある場合でも、食欲不振、疲労感、上腹部の重圧感、吐き気など、特有の症状がないためつい見落とされがちです。

脂肪肝になると肝臓の血流が悪くなり、中性脂肪が増えたり、アルコールの分解が十分に行われなくなったりします。

しかし、早期に発見して原因を取り除けば、ほとんどが健康な肝臓にもどります。


●脂肪肝を放っておくと…
肥満による脂肪肝はさまざまな生活習慣病の原因になります。
アルコール性脂肪肝は、アルコールをやめなければ肝炎や肝硬変へのすすむ可能性もあります。

また、脂肪肝+メタボリックシンドロームの方はさらに注意が必要です。
近年、脂肪肝に肥満か糖尿病、または2つ以上の代謝異常(*2)が合併すると、ハイリスクな脂肪肝と考えられることが新たに分かってきました。

*2 … 代謝異常:血圧が高い、腹囲が大きい、耐糖能異常、脂質異常症など




脂肪肝予防&脂肪肝と診断されたら



脂肪肝の約70%は糖質過剰やアルコールによるものです。
日常生活の中では、以下のようなことに注意しましょう。


●脂肪をとり過ぎない
余剰エネルギーは肝臓に脂肪として蓄積されます。特に、夜間や運動しない時間帯に食事をすると、中性脂肪が肝臓にため込まれやすくなります。

●糖質をとり過ぎない
甘いケーキや菓子、砂糖、ご飯・パン・麺類を控えめにしましょう。

●禁酒または酒量を減らす
肝臓のアルコール処理能力の目安は、体質にもよりますが、お酒1合あたり約4時間、2合あたり約8時間、6合になると約24時間といわれます。酒量が増えると肝臓が休まず働き続けるため、負担となってしまいます。また、空腹で飲むことも肝臓への負担になります。

●たんぱく質を十分にとる
たんぱく質は肝細胞の再生のために重要な栄養素です。良質なたんぱく質を含むバランスのとれた食事をしましょう。
たんぱく質の"質"がわかる「アミノ酸スコア」について詳しくはこちら

●ビタミンB6不足に気をつける
たんぱく質からAST、ALTが作られる際に補酵素として使われます。 食事から補うだけではなく、腸内細菌によっても作られるので、腸内環境を整えることも大切です。

●適度な運動を続ける
時々激しい運動をするのではなく、生活の一部に簡単な運動を取り入れて、毎日続けることが大切です。

●標準体重を保つ
自分に合った適正な体重を維持しましょう。標準体重でも脂肪肝になっていることがありますので、年に一度は検査を受けましょう。


***


肝臓は、代謝・解毒・胆汁の生成など、私たちの身体の中で毎日黙々と働いてくれています。

暴飲暴食で無理をさせ続けないよう、気にかけて大切にしていきたいですね。




【参考文献】
[動画]栄養素の不足も分かる!肝機能の数値の見方のコツ 未病・予防の専門医・池田和子先生による 食を中心とした予防医療講座
肝機能等(全国健康保険協会)
肥満と脂肪肝(厚生労働省)
脂肪肝の新概念:Metabolic dysfunction-associated fatty liver disease(MAFLD) 肝臓第64巻 第2号(日本肝臓学会)
脂肪肝を予防する日常生活(厚生労働省)






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