皆様は「アミノ酸」と聞くと何を想像されますか?
・疲れが取れやすくなる
・髪がツヤツヤになる
・睡眠の質が向上する
・食品の旨み成分
なんとなくそんなイメージかもしれません。
実は私たちの体内には「アミノ酸プール」と呼ばれるアミノ酸貯蔵の仕組みがあり、必要に応じて使われたり、余ったものは体外に排泄されたりしています。
その働きは種類によりさまざまですが、私たちの体に欠かせない重要な成分なのです。
「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」とは?
アミノ酸は、たんぱく質を構成する成分です。
自然界には約500種類があり、そのうち人の体内のたんぱく質に含まれるのは20種類です。
20種のうち9種は他の栄養素から体内で合成することができないため、食事から直接とる必要があります。
これらは
不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)と言われ、食事で補給する必要があります。
通常の食事をきちんととっていれば不足する心配はほとんどありませんが、無理なダイエットや食欲不振でバランスの悪い食事が続くと危険です。
残りの11種類のアミノ酸は、体内で脂質や糖質から合成できます。
これらは
非必須アミノ酸といいます。
必須アミノ酸 |
非必須アミノ酸 |
イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、バリン、ヒスチジン |
チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン |
たんぱく質の"質"がわかる「アミノ酸スコア」とは?
食品に含まれるたんぱく質は、その種類によって含まれるアミノ酸が違います。
たんぱく質に必須アミノ酸がバランス良く含まれているかを数値で表したものが「アミノ酸スコア」です。
数値が高いほどたんぱく質の質が高く、100が満点です。
[ 食品のアミノ酸スコアの例 ]
___________
大豆 100
そば粉(全層粉) 100
卵 100
牛肉・豚肉・鶏肉 100
マグロ 100
牛乳 100
じゃがいも 78
精白米 56
トマト 54
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
必須アミノ酸すべてがバランスよく含まれているものほど、体内で効率よく利用されます。
中でも
大豆は、体内で作ることのできない必須アミノ酸を含め、人間が必要とするアミノ酸20種類すべてを含む強力なたんぱく源です。
しかし、アミノ酸スコアが100の食品ばかり食べれば良いというわけではありません。
食事が偏ると栄養バランスも偏りますので、色々な食品を組み合わせてとるようにしましょう。
色々な「アミノ酸」とその働き
アミノ酸には「神経機能の補助」や「肝機能アップ」など、機能性成分としての働きがあります。
●アスパラギン酸
体内で生成できる非必須アミノ酸の一種。
アスパラガスに多く含まれているのが名前の由来です。
疲労を回復させ、抵抗力を高めるといわれています。
●オルニチン
肝臓で尿素をつくるオルニチン回路を働かせるのに不可欠な物質。
成長ホルモンの分泌や脂質の代謝促進、疲労回復に効果があるといわれています。
●グルタミン
非必須アミノ酸の一種で、アミノ酸の中でも最も多く体内に含まれています。
胃などの粘膜を修復する効果が期待されています。
●タウリン
イカやタコなどの魚介に豊富。体内では、心臓、筋肉、脳、脾臓、肺、骨髄などに存在しています。
肝機能を高める、血圧を下げるなどの効果が期待されています。
●チロシン
非必須アミノ酸の一種で、動物性たんぱく質や納豆などの大豆製品、ナッツ等に含まれ、体内でも合成されます。
甲状腺ホルモンや脳の神経伝達物質の生成に不可欠で、感情や精神機能の調整に関わっています。
●リジン
必須アミノ酸の一種で、大豆にも多く含まれます。
ホルモン、酵素、抗体などの構成成分となり、細胞の成長や修復に作用します。不足すると成長障害の原因となります。
***
【参考文献】
『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社)
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