三大栄養素のひとつ「たんぱく質」。
私たちの体を作ってくれる欠かせない栄養素という認識はあるものの、なぜ必要なのか、どんな働きがあるのか、深く考えることはあまりないかもしれません。
今回は、たんぱく質について気になることを色々調べてみました。
たんぱく質の主な働き
たんぱく質は、アミノ酸がいくつもつながった高分子化合物。
体をつくるだけでなく、代謝や免疫機能にも関わる、生命維持には欠かせない成分です。
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筋肉や臓器になる
骨、筋肉、臓器など体の主成分で、体重の約20%を占めています。
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酵素やホルモンとして代謝を調節
たんぱく質が不足すると酵素やホルモンが生成できないため、生命活動が維持できなくなります。
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物質運搬・生体防御
全身に酸素を運ぶヘモグロビンなどの血液成分や、免疫物質などの主成分でもあります。
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情報伝達
神経伝達物質やビタミン、その他の重要な生理活性物質の前駆体ともなっています。
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エネルギー源
糖質や脂質などが不足した場合、たんぱく質が分解されてエネルギーとして利用されます。
日本人の主要なたんぱく源は?
日本人はどのような食品からたんぱく質をとっているのでしょうか。
たんぱく質の食品群別摂取構成比(20歳以上)は以下のように推移しています。
|
H28年 |
H29年 |
H30年 |
令和元年 |
穀類 |
21.7% |
21.5% |
21.1% |
20.2% |
肉類 |
21.3% |
21.7% |
23.9% |
23.7% |
魚介類 |
19.6% |
18.6% |
16.8% |
18.0% |
大豆・加工品 |
7.7% |
8.1% |
7.7% |
7.8% |
卵類 |
6.7% |
6.9% |
7.4% |
7.3% |
乳類 |
6.2% |
6.4% |
7.1% |
6.0% |
野菜類 |
4.2% |
4.2% |
4.1% |
4.1% |
その他 |
12.6% |
12.6% |
11.9% |
12.9% |
穀類のたんぱく質含有量は少量ですが、主食として日々たくさん食べるため、たんぱく質の大切な供給源でもあります。
ただ、穀類のたんぱく質には一部のアミノ酸が少ないため、良質のたんぱく質を多く含む大豆・大豆製品、卵類、魚介類、肉類、乳類を組み合わせて選ぶことが必要です。
これらの食品のうち、
動物性のものには脂質が多いものもあるため、偏って取り過ぎないようにしましょう。
選ぶなら、脂質が少なく、良質なたんぱく質をとるのがオススメです。
たんぱく質の推奨量と効率の良いとり方
たんぱく質の1日の摂取基準(推奨量)は、成人の場合、男性60〜65g、女性50gです。
しかし、フレイルやサルコペニアの予防のためには、65歳以上の高齢者の場合、少なくとも 1日に体重1kgあたり1g以上のたんぱく質をとるのが望ましいと考えられています。
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たんぱく質の効果的なとり方
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ビタミンB群とセットで
たんぱく質はビタミンB群が不足すると代謝することができず、体内で利用できません。
そのため、ビタミンB群とセットでとるようにしましょう。
特に、ビタミンB6、B12はたんぱく質の分解と合成に不可欠です。
適度な運動も必要
また、運動不足だと体がたんぱく質をうまく利用できなくなります。
適度な運動は、たんぱく質の利用を高めますが、激しい運動はたんぱく質の分解を亢進させます。
筋肉を増やしたい場合
筋量を増加させたい場合、1日の総たんぱく質摂取量が、体重1kgあたり0.1g/日増加すると、2〜3ヶ月で筋量0.39kgの増加が期待できます。
しかし、体重1kgあたり1.3g/日を超えると、筋量増加の効率が悪くなるため、たんぱく質の摂取量が多ければ多いほど筋肉量が増える訳ではありません。
※腎臓の機能が低下しているなど、健康状態に不安がある方は、かかりつけの医師に相談しましょう。
たんぱく質不足と環境問題
食糧不足、特にたんぱく質の不足が大きな課題となっています。
日本人は、ご飯やパン、めん類といった穀類を主に、魚や肉など良質のたんぱく質を多く含む食品をおかずとして組み合わせていることで、バランスを維持しています。
しかし、視点を世界的に移すと、たんぱく質の摂取を食肉に大きく依存しているのが現状です。
食肉を増産するためには家畜に与える穀物が必要です。
これらが、将来的な食糧不足の懸念や、環境問題に大きな影響を与えています。
健康を維持するためのバランスを考えながらも、地球のためになる選択をしていきたいですね。
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【参考文献】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(たんぱく質)[厚生労働省]
国民健康・栄養調査[厚生労働省]
栄養成分表示を活用しようB [消費者庁]
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023[厚生労働省]
『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社)
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