「トランス脂肪酸」についてご存知でしょうか。
米国では、加工食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示を義務づけています。
また、2015年6月17日に、部分水素添加油脂の食品への使用規制を公表し、この規制を2018年6月18日から開始しました。
その理由は、食用として一般的に安全とは認められないということです。
では、トランス脂肪酸とはなんでしょうか?
そもそも脂肪酸ってなに?
"あぶら"には、常温で
液体のあぶら(油)と
固体のあぶら(脂)があり、これらをまとめて
「油脂(ゆし)」と呼んでいます。
この油脂を構成する主な構成成分のひとつが脂肪酸です。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である
脂肪酸の一種です。
脂肪酸には常温で固体の飽和脂肪酸と、液体の不飽和脂肪酸の2種類があり、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種です。
不飽和脂肪酸には、炭素の二重結合のまわりの構造の違いにより、「シス型」と「トランス型」の2種類があります。
トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を製造する過程でシス型結合が
トランス型結合に変化したものです。
マーガリンやショートニングなどの加工油脂およびこれらを原料とする食品(クッキー、菓子パンなど)、精製植物油などに含まれます。
天然の不飽和脂肪酸はほとんどシス型で存在しますが、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には天然に微量のトランス脂肪酸が含まれています。
トランス脂肪酸が体に悪いって本当?
トランス脂肪酸を長期に渡って過剰摂取すると、血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす作用があったり、心臓病のリスクを高めたりするデータが示されています。
WHOによれば、健康に影響を及ぼさないトランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%未満。これに対してアメリカ人の平均摂取量は2%、イギリス人は1%で、日本人は0.3%〜0.6%と諸外国と比べて低い傾向にあります。
厚生労働省によると、
日本国内でトランス脂肪酸の使用に関する規則はなく、含有量の表示義務などもありません。
とはいえ、近年、若年層を中心にスナック菓子やパン類を多く食べることから、摂取量がじわじわと上昇しているため注意したいところです。
食品に含まれる脂肪酸の種類
一般に、
オメガ3とオメガ6の理想的な摂取比率は【1:2〜1:4】程度が適切であると言われます。
じつは伝統的な和食を食べていれば、このくらいの比率に自然と落ち着きます。
しかし日本でも欧米型の食事が普及してきて、この比率が1:10程度、ひどい場合は1:40にもなる場合があります。
現代の食生活では
【高オメガ3・低オメガ6・トランス脂肪酸ゼロ】を心掛けましょう。
脂肪はエネルギー源になるだけでなく、人間の細胞をつくる材料でもあり、欠かせない栄養素です。そのため、質の良い脂肪を選ぶことが重要です。
自然のものをバランスよく摂取しましょう。
【参考】
書籍『なぜ、マーガリンは体に悪いのか?』山田豊文
すぐにわかるトランス脂肪酸(農林水産省)
PDF:「食品に含まれるトランス脂肪酸」 評価書に関するQ&A(食品安全委員会)
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