"春"は冬に溜め込んだ老廃物を排泄し、
体をスッキリさせる季節です。東洋医学では「肝」の季節といわれ、
肝臓の活動が活発になる時期とされます。
肝臓は栄養分の代謝・貯蔵、そしてデトックス(老廃物の排出・有害物質の解毒)にかかわる大切な臓器です。
今回はそんな「肝臓」の働きや、肝臓を労る食事のポイントをご紹介します。
肝臓とは
肝臓は右上腹部に位置する、重さ約1.2〜1.5sの一番大きな臓器です。
予備能力が高く、ダメージを受けてもなかなか自覚症状が現れないため
「沈黙の臓器」といわれます。
肝臓の働き
肝臓は
人体の「化学工場」とも呼ばれ、さまざまな役割を担っています。
【有毒物質の解毒】
アルコールや薬など、体にとって異物となる物質を分解し、毒性の少ないものにして排泄します。
【栄養素の代謝】
小腸から吸収された栄養素を別の成分に変え、体内で利用できる形に変えます。
【エネルギーや栄養素の貯蔵】
ブドウ糖をグリコーゲンという形で蓄え、空腹時や栄養が不足したときに供給します。また脂質やビタミン(A,B12,D,E,K)、ミネラル(鉄,銅)の貯蔵にも関わります。
【胆汁の生成】
脂肪の消化吸収を助ける胆汁を生成します。
その他にも、脂肪酸やコレステロールの代謝、ビタミンDの活性化、ホルモンの代謝など、さまざまな働きがあります。
おもな肝機能の検査項目
健康診断でもおなじみの
ASTと
ALT(GOT、GPTともいいます)は、細胞に含まれる酵素の名前です。特に肝細胞に多く含まれており、肝臓がダメージを受けると血液中に漏れ出てきます。
お酒を飲む人の指標としてよく知られる
γ-GTPは、アルコールを毎日たくさん飲むと高くなります。
【基準値】
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/GOT) 11〜33IU
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ/GPT) 6〜43IU
γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ) 男性10〜50IU/女性9〜32IU
肝臓を労わる「食事と対策」
●アルコールは程々に
アルコールのとり過ぎは肝臓にダメージを与えます。厚生労働省の示す指標では、"節度ある適度な飲酒"は1日平均純アルコールで20g程度。ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)が目安です。
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お酒と健康的に付き合うための栄養学
●たんぱく質はバランスよく
たんぱく質は肝細胞の再生のために重要な栄養素。必須アミノ酸をバランス良く含む魚介類をはじめ、大豆製品などの植物性たんぱく質をバランスよく取りましょう。
●ビタミン・ミネラルをしっかり取る
たんぱく質、脂質、糖質の三大栄養素の代謝が活発に行われるため、代謝をサポートするビタミンB群などをしっかり取ることが大切です。
●食物繊維を積極的に
肝臓の負担を減らすには、便秘の改良も重要です。腸内環境を整える食物繊維やオリゴ糖、発酵食品などを積極的に取りましょう。
●規則正しく食べ過ぎ防止
夜遅い飲食や朝食抜き、ドカ食いなど、日周リズムを乱す食生活は、肝臓に負担をかけます。
もっと詳しく知りたい方は、
お悩み症状別食事法サイト『ケアごはん』の肝臓に関するページをご覧ください。