私たち日本人が使っている漢字は、ひらがなやカタカナに比べて視覚的で鮮やかにイメージが湧き、深く心に残りますよね。
画数が多く情報量が豊かな「漢字」。
文字の意味を瞬間的にパッと理解できたとき、漢字は「感字」になります。
そんな漢字は人々の生活体験から生まれたものが多く、食育や食文化を語り伝えるのにとても有効です。
今回は、漢字を使った食育マメ知識をご紹介します。
「福」は“一口だね”
幸福、福祉、福運、福音、福の神、福引、福袋、大福、福豆など、「福」のつく言葉を見ていると、楽しく温かい気持ちになりますよね。
だれでも大好きな「福」の字を右側から分解すると、「一口田ネ(ひとくちだね)」と読めます。
江戸時代、寺子屋の先生は福の字をこのように教え、一口の幸せに感謝し、よく噛みしめ、深く味わって食べるよう、繰り返し説いたそうです。
幸福は口福から始まります。元気も病気も口から入ってくるので、一口をよく噛みしめ、一口を深く味わうよう心がけましょう。
「食」を使って食育活動
食に関する熟語にほかの漢字をあてはめると、同じ発音でも違った意味を 持つようになります。
「朝食」は、内容を充実させ心身を整え調節・調律する「調食」に。
「昼食」は、栄養・愛を注ぎ、食卓に話題を注ぐ「注食」に。
「間食」は、栄養バランスを考えて勧めたり、いただいたりする「勧食」に。 また空腹でないときは、見るだけにしておく「観食」に。
「軽食」は、カロリーや栄養素を計算し、計画する「計食」に。
「夕食」は、遊び心いっぱいで楽しむ「遊食」に。
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漢字を使えば、同じ「食」でも食育に生かすことができますね。
話飲と話食
「話」という字は「言」に「舌」。
舌は口で存分に味わうことと同時に、話したり語ったりするためにも、大いに活用しています。
「話」や「語」には口が2つずつあり、素敵な会話は口が複数あって初めて生まれるのだと教えてくれます。
話しながら、語りながら飲食する「話飲(わいん)」と「話食(わしょく)」で、笑顔やユーモア、喜び、感動が交差する言葉のやりとりを食と共に楽しみましょう。
言葉は生きるチカラ、心の栄養です。
漢字の成り立ちや新しい解釈のしかたを学ぶと、新しい発見があるかもしれません。
【参考】書籍『漢字で食育 心とからだの元気語録』砂田登志子