プラントベース、ホールフードという言葉を聞くことはありませんか?
「プラントベース」とは、植物性の食品を中心とした食事のこと。米や野菜を中心とした日本の伝統食もプラントベースな食事と言えます。
「ホールフード」とは、一言でいうとまるごと食べること。日本にも「一物全体食」という言葉があります。
これらの食事は健康増進や病気予防のうえで重要な要因となっていることが、多くの研究結果として発表されています。
今回はアメリカ「T.コリン キャンベル栄養研究センター」のWEBサイトに掲載された記事をご紹介します。
疾病の主な原因は食生活の乱れ!?
1990年から2013年にかけて、世界188カ国を対象に79種類の要因が死亡や疾病に与える影響(リスク要因)についての大規模な研究調査が行われました。
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その結果、主な原因は食生活にあることがわかりました。特に、2013年の結果では、健康寿命を短縮し早すぎる死を招いている要因は、
高血圧・喫煙・肥満・糖尿病などを押さえて「食事の乱れ」がトップだったのです。
1990〜2010年に米国で行われた同様の調査でも、米国内で最も多かった死因は「食事の乱れ」26%(2010年)という結果がでています。野菜・果物・ナッツ類が少なく、ナトリウム・加工肉・トランス脂肪酸が多いことが主な要因でした。
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プラントベース、ホールフードが死亡リスクを下げる?
2014年の「ジャーナル・オブ・ニュートリション」誌に掲載された論文では、米国の42万人以上を対象に15年間の調査を行い、対象者の食事内容を数十の食事品質スコアと照らし合わせた結果が紹介されています。
調査期間中に死亡した86,000人以上の食事を調べると、
植物性食品(全粒穀物、果物や野菜、ナッツ類、豆類)を多く含み、赤身の肉や加工肉が少ない食事が死亡リスクの低下に関連していることがわかりました。
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プラントベース、ホールフードを中心とした食事は、健康的な暮らしに関連していることがこの調査でも証明されました。
世界の長寿地域の食事もプラントベース
世界には、100歳を過ぎても健康で活動的な生活を送っている人の割合が高い地域があります。
これらの地域は「ブルーゾーン」と呼ばれ、アメリカ(カリフォルニア州ロマリンダ)、南米(コスタリカ・ニコヤ)、ヨーロッパ(イタリア・サルデーニャ、ギリシャ・イカリア)、アジア(日本・沖縄)などがあります。
これらの地域は世界各地に広がっており、さまざまな違いがありますが、
植物性を基本とした食事をとっているなど、ライフスタイルに同じ特徴がみられます。
例えば、沖縄の伝統的な食事は96%が植物性です。
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こうして見てみると、プラントベースやホールフードは現代科学で証明された古くて新しい健康食とも言えますね。
■出典
Research Confirms a Plant-Based Diet Can Help You Live Longer
Conor Kerley, PhD
■参考文献
1. GBD 2013 Risk Factors Collaborators. Global, regional, and national comparative risk assessment of 79 behavioural, environmental and occupational, and metabolic risks or clusters of risks in 188 countries, 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013. Lancet. 2015 Dec 5;386(10010):2287-323.
2. Murray CJ, et al. The state of US health, 1990-2010: burden of diseases, injuries, and risk factors. JAMA. 2013 Aug 14;310(6):591-608.
3. McCullough ML. Diet patterns and mortality: common threads and consistent results. J Nutr. 2014 Jun;144(6):795-6.
4. Willcox DC, Willcox BJ, Todoriki H, Curb JD, Suzuki M. Caloric restriction and human longevity: what can we learn from the Okinawans? Biogerontology. 2006 Jun;7(3):173-7.