疲れが全然とれない…
朝起きるのがつらい…
気分が落ち込んでやる気が出ない…
その原因、「副腎疲労」かもしれません。
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副腎ってなに?
副腎とは、ふたつある腎臓の上にちょこんと存在する、クルミほどの小さな臓器。といっても腎臓のおまけではなく、全く異なる器官に分類されます。
副腎はの主な働きは、
日々のストレスから体を守り、生命維持のために不可欠なホルモンを50種類以上も分泌すること。
副腎は大きく分けて2層構造になっています。外側は「副腎皮質」、内側は「副腎髄質」と呼ばれ、それぞれ分泌されるホルモンや役割が異なります。
●副腎皮質ホルモン(主なもの)
コルチゾール |
ストレスによる体へのダメージを防ぐ |
アルドステロン |
マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのバランス調整 |
DHEA |
「ホルモンの母」と呼ばれ、体内で男性ホルモンや女性ホルモンをつくる
別名・若返りホルモンとも呼ばれる |
●副腎髄質ホルモン(主なもの)
アドレナリン |
興奮や緊張などの交感神経に作用する |
ノルアドレナリン |
アドレナリンの前駆物質 |
ドーパミン |
別名・幸せホルモン |
抜けない疲れや不調の原因は、副腎疲労?
現代人は、人間関係や仕事などの精神的ストレスだけでなく、大気汚染や気温の変化、生活習慣、食品添加物や偏った食習慣など、実にさまざまなストレスを受けています。
脳がストレスを感じると、すぐに副腎へ指令が出され、それを受けた副腎が
「コルチゾール」という
“ストレス対抗ホルモン”を分泌します。
ところが、ストレス過多によってコルチゾールが過剰に分泌される状態が続くと、副腎が疲れて働きが低下します。この状態を
「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」と呼びます。
副腎疲労でホルモンの分泌がうまくいかなくなると、ストレスに対抗できなくなり、疲労感、やる気の低下、さらに生活習慣病などにもつながります。
副腎は美容や更年期にも影響
ストレスが多いと、ホルモンの材料であるコレステロールの使い道がコルチゾール生産に集中します。
すると、“若返りホルモン”と呼ばれるDHEAなどの生産が断たれ、男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)が作られなくなり、美容トラブルなどに繋がります。(肌の乾燥、シミ、髪のパサつきなど)
また、更年期が近づくと、女性ホルモンをつくる働きが卵巣から副腎にバトンタッチされます。このとき副腎が元気な状態であれば、閉経に向かって女性ホルモンがゆるやかに低下。脳と体がラクに対応でき、更年期の不調を防止してくれます。
副腎疲労の症状チェック
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朝起きるのがつらい
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疲れがとれない
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塩分や糖分の高いものが食べたくなる
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カフェインをとらないと仕事ができない
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15〜16時くらいまでぼんやりしがちで、夜になると元気になる
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立ち上がるときに頭がクラクラする
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虚無感、落ち込みやすい
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思考や記憶があやふやになりがち
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些細なことでイライラする
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性欲の低下
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PMS(月経前症候群)の悪化
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上記に当てはまる方は、副腎が疲れているかもしれません。
食事で副腎ケア
副腎を疲れさせないためには、
副腎に必要な栄養をとること、
負担がかかるものを避けることが大切です。
さらに、腸に炎症が起きると、それを抑えるためにコルチゾールが消費されてしまいます。副腎疲労を予防するためにも、
腸をケアする食習慣も心がけましょう。
<おすすめの栄養素・食材>
●ビタミンB群
副腎がホルモンを産生する際に大量に消費されます。
玄米、大豆、にんにく、納豆、種実類、緑黄色野菜、魚介類など
●ビタミンC
副腎に多量に存在し、ストレスにより消費されます。副腎の代謝機能には不可欠。
小松菜、れんこん、ブロッコリー、ピーマン、じゃがいも、レモン、アセロラ など
●マグネシウム
ホルモン代謝の際に必要な酵素の働きを助けます。
玄米、大豆、大豆製品、ごま、アーモンド、わかめ、ひじき など
●パントテン酸
副腎の働きを助け、ホルモンがスムーズに合成されるよう促します。
また他の栄養素と組み合わせてホルモンバランスを整える効果があります。
納豆、卵、干し椎茸、落花生、アボカドなど
●良質なたんぱく質
コルチゾール値が高くなると、たんぱく質代謝も上がってしまいます。
腸の炎症修復にも欠かせません。
大豆、大豆製品、卵、魚介類 など
●良質な脂質
ホルモンの材料になります。
オメガ3系脂肪酸(EPA、DHA、α-リノレン酸 が多い油)
青背の魚油(イワシ、サバなど)、亜麻仁油、エゴマ油など
●香味野菜・ハーブ・スパイス
肝臓の解毒力が低下すると、処理できなかった有害物質が炎症を起こして副腎の負担になります。
デトックス効果のある香味野菜(にんにく、玉ねぎ、パセリなど)、薬味(ねぎ、しそ、生姜、しそなど)、香辛料(唐辛子、黒こしょうなど)を取り入れるのもおすすめ。
●ファイトケミカル
色とりどりの野菜に含まれる機能性成分ファイトケミカルは、抗酸化、粘膜強化、肝機能の保護、血圧や血糖値の調整など、副腎だけでなく体全体に効果を発揮します。
●食物繊維
腸内環境を整えたり、便のかさを増やしてお通じの改善にも。
根菜類、きのこ類、海藻、乾物、未精白穀物など
●発酵食品
善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれます。
納豆、味噌、漬物など
●オリゴ糖
善玉菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やします。
大豆、ごぼう、玉ねぎ、アスパラガス など
<なるべく避けたい栄養素・食材>
●グルテン・カゼイン
グルテン(小麦粉)やカゼイン(乳製品)は、腸の炎症を起こしやすいので控えめに。
●カフェイン
カフェインには、副腎を刺激してコルチゾールの分泌を促す働きがあります。副腎疲労の人にカフェイン依存症の人が多いのは、コルチゾールの分泌が低下しているため。ただし、カフェインの効果が切れるとコルチゾールの出が悪くなり、その後すぐに疲労感に襲われます。
●血糖値を急上昇させる食べもの
血糖値が乱高下すると、その調整のためにコルチゾールが消費されます。甘いお菓子や甘い飲み物は控えめに。
●添加物・化学合成物質
保存料や着色料などの添加物、化学合成物質などを含む食べ物は、副腎に負担をかける恐れがあります。
まじめでがんばり屋なほど、副腎に疲労をためがちです。
できることから気楽に、副腎ケアをしてみてはいかがでしょうか。
【参考】
書籍『自分で治す! 副腎疲労』本間良子,本間龍介(著)/洋泉社