私たちの暮らしにおいて、欠くことのできない
「塩」。
調味料の基本さしすせその「し」は塩のこと。
日本では昔から、料理や神事に使われるなど重宝されてきました。
今回は、そんな塩に関するマメ知識をご紹介します。
生きるうえで欠かせない貴重な「塩」
人間の体液中には、常に0.9%の濃度で塩分が含まれています。
体内で塩は「ナトリウムイオン」と「塩化物イオン」に分かれて存在しており、
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細胞内外の圧力(浸透圧)を調整する
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食べ物の消化・吸収を助ける
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汗を出して体温を調整する
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神経や筋肉の働きを調整する
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食欲や味覚を正常に保つ
など、私たちが生きていく上で重要な働きをしています。
熱中症対策には塩分も大切
人間の汗は舐めると、しょっぱい味がしますよね。
これは汗をかくと、水分と一緒に塩分も体外に出てしまうためです。
そこで水分だけ補給すると、塩分とのバランスが崩れ、代謝がスムーズに進まなくなり、夏バテの原因に。
そのため、
汗をかいた後は水分と一緒に塩分も補給しましょう。
ナトリウムと塩分の違いは?
食品パッケージ表示で、
「ナトリウム」または
「食塩相当量(塩分)」という文字を見たことがある方も多いはず。何が違うのかわかりますか?
「ナトリウム」はミネラルの一種で食塩の成分の一部、
「食塩」はナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムのこと。
食品に含まれているナトリウム量から食塩量を換算した値が食塩相当量になります。
ナトリウム量(mg)×2.54(ナトリウム換算係数)÷1000=食塩相当量(g)
※ナトリウム量が「g」の場合は、ナトリウム(g)×2.54=食塩相当量(g)
例えば、ナトリウム量が1,000r(1g)の場合、食塩相当量は2.54gになります。
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塩の効果・作用
塩には塩味をつけるという調味以外にも、いろいろな作用があります。
防腐作用
塩には細菌類を死滅させたり、増殖を押さえる働きがあります。日本でも昔から、味噌、醤油、漬け物などの多くの食品で、塩の保存効果が利用されてきました。
タンパク質の熱凝固促進作用
タンパク質は塩を加える事によって固まる温度が低くなるため、魚や肉などに塩をかけて焼くと、表面が早く固まり、旨みを閉じ込めることができます。
タンパク質の変性・溶解作用
魚のすり身やひき肉に塩を入れて捏ねると、タンパク質が溶けて粘りが出ます。
脱水作用
塩の浸透圧による脱水作用を利用して、野菜をしんなりさせたり、魚の臭みをとるのに使われます。
対比効果
甘いものに塩を加えると、甘みが引き立つ効果があります。
褐変防止効果
食塩水に切ったりんごを浸す事で、変色を防いでくれます。
色だし効果
塩にはクロロフィル(葉緑素)の色を安定させる働きがあるので、緑色の野菜を茹でるときに塩を入れると鮮やかな色になります。
食塩の1日の摂取基準量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標とする1日の食塩摂取量は、18歳以上の女性で7.0g未満、男性で8.0g未満とされています。
【参考】日本人の食事摂取基準(2020年版)[厚生労働省]
摂取過剰が気になる人は、食事のときにナトリウムを排泄する働きがあるカリウム(野菜など)を一緒にとるよう工夫しましょう。
また、食塩の必要量は、体質や持病の有無、運動量、生活環境のほか、汗をかきやすい夏場など季節によっても変わってきます。
そのため、人それぞれに合った適塩がおすすめ。
何事も「いい塩梅」が大切です。
おまけ(1) 塩のことわざ・慣用句
昔から親しまれてきた塩には、それにまつわる言葉が多くあります。
『青菜に塩』
青菜に塩をかけると、水分が出てしおれてしまうことから、急に元気をなくしてしょげることのたとえ。
『傷口に塩を塗る』
悪いことの上に、さらに悪いことが重なることのたとえ。
『敵に塩を送る』
敵対する相手が困っている時に、手を差し伸べることのたとえ。
『手塩にかける』
自ら世話をして大切に育てること。昔から手に塩をつけて丹念にものを作る行為には、愛情が込められている。
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おまけ(2) 給与の語源は塩?!
サラリーマンという和製英語がありますが、給与を意味する英語“サラリー(salary)”は、「塩を購入するための兵士の給与」を意味する、ラテン語の“サラリウム(salarium)”が語源。
その「塩のお金」が後に、兵士に限らず一般の俸給や給料を言い表すようになったそうです。
昔は塩が高価で貴重な物だった事がわかります。
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