日本の食卓で毎日の様に使われているお箸。そして、そのお箸とセットで使われる箸置き。
洋食の普及で箸を使う機会が減っていたり、箸置きはあまり使わないという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし日本の箸文化は、私たちの生活や精神に深く根付いています。
いつも何気なく使っているお箸と、箸置きについて、改めて考えてみましょう。
日本のお箸の歴史
もともと日本は、食事の際に箸などの道具は使わない手食の文化でした。諸説ありますが、7世紀頃に中国との交流をきっかけに、日本でも箸食文化が広まったそうです。
お箸は、はじめは主に公的な行事や神事で使われていましたが、時代が進むにつれて世間一般にも広がり、用途や文化に応じて種類も増え、日本の食文化に欠かせないものとなっていきました。
古くから日本人の手先が器用なのは、お箸を使うからだと言われています。
また、箸先は人のもの、天部分は神様のもので、お箸は人と神様を結ぶ橋(箸)渡しをしてくれる道具とも考えれられてきました。
ちなみに、箸を「一膳(ぜん)、二膳(ぜん)…」と数えるのは、鎌倉時代に一人用の膳が発達し、一つの膳に一つの箸が添えられたためです。
世界の箸文化
お箸を使う箸食文化圏は世界の約30%といわれ、東アジア一帯に幅広く広がっています。
しかし箸と匙をセットで使う様式が大半であり、純粋に“お箸だけ”の食事様式は日本独自のものです。
さらに、「自分専用のお箸」を決めて食事をするのも、日本だけの風習です。
箸置きの歴史
お箸を置くための「箸置き」は、神様に供える箸を汚さないために生まれたと言われています。
そんな箸置きが本格的に使われるようになったのは、明治時代に入ってから。それまで和食は膳に載せていただくのが一般的でしたが、西洋文化が入ってくると、家族でひとつのテーブルを囲むようになったことから、箸置きが一般に普及しました。
今ではお客様へのおもてなしや、食卓に花を添える存在として、様々なデザインがあります。季節やお料理に合わせて、使い分けるのも楽しいですね。
箸置きでダイエット?!
食べ物を一口食べて、噛み終わるまでお箸を箸置きにおくようにすると、食事の時間が自然に長くなります。
ゆっくりしっかり噛むことで満腹中枢を刺激し、少ない量でも満腹感が得られ、早食いや食べ過ぎを防止します。
さらに、よく噛むことで胃腸にかかる負担を減らすとこができ、口周りの筋肉を使うことで小顔効果も期待できます。
知っておきたいお箸のマナー
お箸の作法には、いろいろな禁じ手(嫌い箸)があります。ぜひ知っておきましょう。
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刺し箸:食べ物にお箸を突き刺して食べる
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箸渡し:お箸とお箸で食べ物をやり取りする
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ねぶり箸:お箸についたものを口でなめる
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迷い箸:料理の上であちこちお箸を動かす
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指し箸:お箸で人を指す
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立て箸:ごはんの上にお箸を突き刺す
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探り箸:食器の中のお料理をかき混ぜて中身を探る
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くわえ箸:お箸から手を離して口にくわえたままにする
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かき箸:食器のふちに口を当て、お箸で料理をかき込んで食べる
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涙箸:お箸の先やとった食べ物から汁をぽたぽた落とす
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寄せ箸:食器をお箸で手前に引き寄せる
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渡し箸:食事の途中にお箸を食器の上に渡しておく(「ご馳走様」という意味になる)
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叩き箸:お箸で器を叩く
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振り上げ箸:食事中に箸を振り上げる
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押し込み箸:口に入れた食べ物をさらにお箸で口の奥へ押し込む
日本の箸文化を、ぜひこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。