皆さんは毎日の食卓で、日本の土地でとれたもので作った、穀物・野菜を中心とした日本食(和食)をどのくらい食べていますか?
世界的にみると、いまや日本食は大変なブームです。しかし日本では食の欧米化が進んでいるという、なんともおかしな現象が起きています。
南北に長く、豊かな自然に恵まれ、海に囲まれた日本は、四季折々の食材に恵まれ、長い年月をかけて地域の伝統的な行事や作法と結び付いた食文化を形成してきました。
しかし食のグローバル化が進む中で、日本の伝統的な食文化は失われてきているのではないでしょうか。
そんな今だからこそ見直したいのが、
「身土不二」という考え方です。
「身土不二」とは?
身土不二(しんどふじ)とは、
自分の身体と土は一体であり、自分の住んでいる国、土地でとれたものを食べよう、という考え方です。
人間はその環境に合うよう、長い年月をかけて身体を変化させてきました。私たち日本人は、先祖代々食べ続けてきた、穀物・野菜を中心とした日本食が体に合っていると考えられます。
旬も重要です。多くの野菜は旬の季節に栄養が豊富になります。
意外と知らない、野菜・果物の「旬」の時期
下記のイラスト、それぞれの野菜の「旬」の時期はわかりますか?
正解はこちら。
そら豆:4〜6月
なす:7〜9月
オクラ:6〜9月
落花生:9〜10月
にんじん:10〜12月
ブロッコリー:11〜3月
にんにく:5〜8月
春菊:11〜3月 ※春に咲くので春菊。旬は冬。
ふだん何気なく買う野菜にも、それぞれに「旬」があります。どんな野菜がどの時期においしいのか、いざ聞かれるとよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
旬の食材はなぜ美味しくて体にいいの?
四季のある日本では、季節によって旬の食材があり、その効能も異なります。旬は、私たちの体に必要な物を季節毎に与えてくれます。
*春
春は冬に溜め込んだ老廃物を排泄し、体をスッキリさせてくれる季節です。山野草は苦味などアクが強く、身体に刺激を与えて春の目覚めとなります。
*夏
高温多湿の気候が続く夏は、夏バテや食欲不振など、なにかと健康に影響が出やすくなります。旬の夏野菜は、内側から体を冷やしてくれたり、食欲を増進したりする効果があります。
*秋秋は「食欲の秋・実りの秋」と言われるほど、食べ物が美味しい季節です。きのこや芋などの旬の食べ物が、寒い冬を迎えるための栄養を蓄え、体づくりに役立ちます。
*冬冬は体を温める料理が多くなります。根菜類は体を温める作用があり、煮込むとさらに温める働きが強くなります。
このように、旬の食材はその時期に体が欲している食材のため、私たちは美味しいと感じるのです。
寒い季節に食べたくなる!日本のご当地鍋
これから寒くなってくると、食べたくなるのが鍋料理です。海山の幸に恵まれた日本には、それぞれの土地の食材を使ったご当地鍋がたくさんあります。
石狩鍋(北海道)/きりたんぽ鍋(秋田県)/芋煮鍋(山形県)/せんべい汁(岩手県)/のっぺい汁(新潟県)/あんこう鍋(茨城県、新潟県)/シシ鍋(茨城県)/ちゃんこ鍋(東京都)/柳川鍋(東京都)/ほうとう鍋(山梨県)/かも鍋(滋賀県)/ぼたん鍋(兵庫県)/うどんすき(大阪府)/フグ鍋(山口県、大阪府)/カキの土手鍋(広島県)/源平鍋(香川県)/ハリハリ鍋(高知県)/もつ鍋(福岡県)/水炊き(福岡県)/さつま汁(鹿児島県)
上記は一例ですので、興味のある地域の鍋料理を調べてみるのも面白いですね。
鍋料理は体が温まるだけでなく、加熱することで食材のカサが減るため、たっぷりの野菜やきのこ類を食べることができます。さらに色々な食材の栄養をまんべんなく、まるごと取ることができる、とてもバランスの取りやすい料理です。
なぜ食材をまるごと食べるのが良いのか?詳しくは下記の記事をご覧ください。
まるごと食べて栄養アップ!エコにも繋がる「一物全体食」の考え方
日本人の食文化になくてはならない「発酵食品」
「麹菌(こうじきん)」は日本の気候風土の中で生きている微生物です。麹菌の作る酵素を利用して、酒や味噌、酢、醤油など、日本食に欠かせない発酵食品が作られます。
日本特有の麹菌がつくるこれらの発酵食品は、「身土不二」そのもの。
遠い昔からわたしたちの健康と食の豊かさを支えてくれている、日本の食文化になくてはならない存在です。
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発酵食品について考えてみましょう
身土不二は「省エネ」にも!
食品の輸送には、多くのエネルギーが使われています。できるだけ輸入食品を使わない、地元で取れた作物や食品を使うという「身土不二」の考え方は、資源の無駄使いを減らすことができます。
例えば同じ豆腐でも、輸入大豆と国産大豆で作る場合とで比べると、二酸化炭素の排出量は400倍にもなります。また、主食を米にすることで、小麦などの輸入を減らすことにも繋がります。
【参考】平成20年 食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会 会議資料
「身土不二」の考え方は、省エネ以外にも、添加物が少なくて済む、ポストハーベスト、国内自給率アップなど、さまざまなメリットがあります。
この機会に、日本の食文化や旬の食材、自分の住んでいる土地の食べ物などを考え、見直してみてはいかがでしょうか。
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