Vol.1072015年1月20日配信
最近、眠りに悩みを抱えている人が多くいるそうです。スッキリ眠れないのは、「眠りのしくみ」を知らないせいかもしれません。そこで今回は眠りのメカニズムを見直してみましょう。 |
睡眠の働きは、体への作用と脳への作用とに分けて考えるとわかりやすくなります。 | |
◎働きの中心となるのは、睡眠中に分泌されるホルモン |
寝入った直後から3時間くらいの間に出てくるホルモン。その名の通り、子供に対しては背を伸ばす役割を持っています。成人に対してもさまざまな重要な役割を持ち、主にカラダの「修復」を担っています。別名「若返りホルモン」とも呼ばれ、肌の新陳代謝を支え、美肌作りに欠かせません。 |
夜明けが近づくと増加します。体脂肪を分解してブドウ糖に変えるホルモンで、これで血糖値が高まり、目が覚めた時から頭も働くことができます。 |
「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、体内時計に働きかけることで覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があります。メラトニンの分泌は主に光によって調節され、朝、光を浴びると体内時計からの信号で分泌が止まり、目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 |
睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2種類があります。前者は深い眠り、後者は浅い眠りといわれていて、眠っている間に交互に表れます。ノンレム睡眠の時は脳の代謝が低下するので、「脳の休息時間」といわれています。また、最新の研究では「記憶を固定化」するともいわれています。 |
◎「体の修復」「脂肪の燃焼」「目覚めの準備」「記憶」「休息」。睡眠中の体は実に色々なことをしています。このような働きが全うされてこそ、「よく眠れた」といえるわけです。 |
私たちの体には、「昼間は活動、夜は休息」という本能的なリズムが備わっています。そのリズムを取り戻すことで、夜は自然に眠くなります。昼間は活動する時間とし、夜は眠れる様に、ぬるま湯に入るなどし、体をリラックスさせることが大切です。 |
腸は私たちが寝ている間に便を作り、翌朝の排便へとつながります。睡眠時に胃が空っぽの状態だと、「空腹期消化管運動」が起こります。消化された食べ物や残りかすを腸の奥へ送りこんで小腸内をきれいにし、便のもとを大腸へ送る重要な働きです。 |
睡眠の質を決める最大のカギは朝にあります。朝日を浴びると、体内時計は「今は朝」とリセットされます。そこから12時間ほど経つと体内時計が夜になるので、自然に深く眠れます。 |
質のよい睡眠を取るためには、決まった時間に寝ることが大切です。そのためには朝、昼、夜と決まった時間に食事を取るようにしましょう。 |
寝る前に胃に食べ物が残っていると、質のよい睡眠が取りにくくなりますので、寝る3時間前くらいまでには食事を済ませておきましょう。でも、なかなか難しい…という方は、消化のよいものを食べるようにしましょう。冷たいものより温かいものを食べるといいですよ。 |
睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を促すには、その原料となるトリプトファンを多く含む食べ物(大豆、緑黄色野菜、ごま、バナナ、はちみつ、など)を取るようにしましょう。トリプトファンはたんぱく質を多く含む食品や緑黄色野菜などに多く含まれます。たんぱく質には動物性と植物性がありますが、植物性のほうが脳内でセロトニンの材料として利用されやすいのでオススメです。 |
質のよい眠りを手に入れるためには、日常生活を見直し、食事は早めに、消化の良いものを食べることが大切です。今回の話をご参考にしていただき、睡眠を見直して健康的な生活をはじめてみませんか? |
* * * |
■参考:「輝(かがやき)」第34号(一般財団法人
食と健康財団より2010年7月25日に発行) |