2月に入り立春が過ぎましたが、記録的な大雪が降るなど、
まだまだ寒い日が続きそうですね。
そんな寒い季節、私の楽しみの一つが、
入浴剤を入れてお風呂にゆ〜っくり入ること♪
温まったあとに、いい香りのするボディオイルで
マッサージするのがマイブームになっています。
好きな香りに包まれると、とっても癒されますよね(*^^*)
今回は「香り」についてのお話です。
近年、花やハーブから抽出した香りに癒しの効果を求める
「アロマテラピー」が人気です。
確かにバラやラベンダーの香りは心地良いものですが、
香りの文化なら日本だって負けていません。
「香道」まで本格的なものでなくても、お香や匂い袋など、
和の香りをもっと気軽に手に入れてみませんか?
あなたを心から癒してくれる香りに出会えるかもしれません。
香を焚く文化は、仏前を清め、非日常的な空間を作るものとして、
6世紀半ばに仏教とともに伝えられました。
ここでいう香とは、香木のこと。
白檀(びゃくだん:別名サンダルウッド)や
伽羅(きゃら)という名で知られる香木は産出量も少なく、
品質の良いものは今も昔も黄金並みに珍重されています。
やがて、香そのものを楽しむようになり、平安時代には、
丁字(クローブ)、麝香(ムスク)など天然の香料を
調合した複雑な薫物(たきもの)を使いこなすことが、
貴族のたしなみとされるようになりました。
平安時代の貴族たちにとって、香りは自己アピールの手段でもありました。
歩いた後でほのかな香りが漂うように、香りを衣装に薫きしめるのは
身だしなみの基本。その香りで、今通ったのはどこの家の誰、
と判断したといいます。
「源氏物語」の梅枝の帖には、光源氏が女君たちに調合させた
薫物を焚き比べて、調合した人の個性も評しながら、
どれが一番優れているか判定する場面も。
香りからその人の教養や品格まで読み取ることができたようです。
香りの文化が「香道」へと発展したのは15世紀後半。東山文化の中で、
一定の作法のもとに香木を焚いて香りを鑑賞する形式が確定しました。
香道では、香りを「聞く」とは「感覚を働かせて識別する」ことであり、
香りに問いかけて答えを「聞く」という意味もあるとか。
嗅覚だけを研ぎ澄まして自分の中の答えと向き合うひとときは仏教や禅の心に通じ、
ストレスフルな現代人の癒し体験としても注目を集めています。
ある香りをきっかけに、昔の出来事を鮮やかに思い出した…
こんな経験はありませんか?このような現象は、香りの信号が
大脳辺縁系の海馬にある過去の記憶に働きかけることで起こり、
紅茶にひたしたマドレーヌの香りで幼少時代を思い出す
プルーストの小説にちなんで「プルースト効果」と呼ばれます。
古今和歌集にも「さつき待つ花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする」という歌が。
香りと記憶にまつわる体験は、洋の東西を問わないようです。
香りの効果は、脳波やストレスホルモンの量などで測定することができます。
ゆったりとしたいときは、α派が出る白檀や伽羅の香りが、
やる気を出したいなら、β波が出るバラやジャスミンをブレンドしたものが効果的。
香りの種類に関わらず、自分の好きな香りを嗅ぐとα波が出る
という実験結果もあります。確かに「いい香りだなぁ」と
深く息を吸い込むと、ふっと方の力が抜けますね。
どの香りが一番リラックスするか、いろいろ試してみては
いかがでしょう。
高価な香木も、粉末やチップを練り込んだお香なら、
気軽に使うことができます。スティック型、コーン型など、
さまざまな形のお香や香炉、香立て、香皿といったグッズが
揃っているので、ぜひ一度専門店をのぞいてみてください。
便箋や封筒、名刺などを入れる引き出しに、香木の粉末を
和紙で包んだ文香(ふみこう)を忍ばせるのもおすすめ。
メールでは届けられない奥ゆかしい香りが、
あなたの新しい一面を伝えてくれるでしょう。
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■参考:はい!元氣らいふ2009年1・2月号