昨年、大きなブームとなった「麹(こうじ)」、
中でも「塩麹」や「醤油麹」は、調味料として
スーパーで売られているのを見かけるほど
定着していますね。
この麹人気の原因は、「腸の健康や美容にいい」、
「料理をおいしくしてくれる」といった"麹"の持つ力にあります。
実は、麹は古くから私たちの生活には欠かせないものであり、
「酵素」などの有用成分を生み出してくれるとっても力強い存在なのです。
「麹」と呼ばれているのは一般的に、米、麦、大豆などの穀物に
コウジカビを繁殖させたものです。
出来上がった麹は原料の種類により米麹、麦麹、豆麹と呼ばれていて、
日本や東アジア圏で使われています。
調味料の塩麹や醤油麹によく使われているのは「米麹」です♪
日本で古くから清酒やみそ、醤油などに使われてきたのは、
ニホンコウジカビといい、学名はアスペルギルス・オリゼーといいます。
麹菌(アスペルギルス・オリゼー )は、古来から日本の
豊かな食文化に貢献してきたことが評価され、2006年10月12日、
日本醸造学会により「国菌」に認定されました。
日本醸造学会の発表文には「今後ますます産業的に重要な菌
として、医薬品をはじめ、広い分野で有用物質の生産に用い
られるであろう。」と書かれているほど、日本の貴重な財産
として認められています。
麹菌はさまざまな醸造や食品に汎用されています。
●アスペルギルス・オリゼー(黄麹菌)…清酒、みそ、醤油
●アスペルギルス・アワモリ(黒麹菌)…泡盛、焼酎
●アスペルギルス・カワチ(白麹菌)…焼酎、泡盛
他にも、かつお節を作るアスペルギルス・グラウカスや、
テンペを作るクモノスカビ、紹興酒、豆腐ようを作る
紅麹菌などがいます。
私たちの身近なところに、麹菌による発酵食品があふれているんですね。
麹を使った発酵食品が腸の健康や美容によいといわれるのは、
麹菌で発酵させることにより様々な成分が生まれるからです。
代表的な成分を4つご紹介します。
●酵素
食べたものの分解を助ける酵素が、胃もたれや胸やけを防ぎます。
また活性酸素を消去し酸化を防ぐSODなど、多数の酵素が生まれます。
【酵素とは】
酵素はタンパク質の一種で、消化・吸収や燃焼、排泄など、
身体の働きになくてはならない物質です。
たとえば、食べ物を消化吸収し、燃焼させ、排泄できるのは酵素のおかげ。
その他、骨をつくるのを助けたり、肝臓や腎臓に働きかけたりするものもあれば、
呼吸やホルモンの分泌、神経伝達などの作用にも介在するものもあります。
酵素は、毎日の健康な生命活動を営むためになくてはならないものなのです。
●コウジ酸
メラニン色素の合成を抑え、美白効果があります。
●GABA(γ‐アミノ酪酸)
精神安定作用、血圧安定作用があると言われます。
●アミノ酸・ペプチド
麹の作る酵素がたんぱく質を分解し、アミノ酸、ペプチド
などの健康成分が生まれます。
「米麹」にはビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB群は、爪や肌、髪を健やかに保ったり、
疲労回復に関わったりしている栄養素で、
ドリンク剤などにも配合されています。
米麹で作るものの中に「甘酒」がありますが、甘酒というと「酒かす」を
お湯で溶かしたものに砂糖を入れた飲み物を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、最近注目されているのは「酒かす甘酒」ではなく、もち米やうるち米を
麹菌のパワーで糖化することで自然の甘みを引き出した「麹甘酒」です。
ビタミンB群などの栄養が豊富ですし、酒かす甘酒と違ってノンアルコールで
飲みやすいのが特徴です。
江戸時代には甘酒が夏バテ予防の栄養ドリンクとして飲まれていました。
特におススメなのが、玄米で作る「玄米甘酒」です!
玄米ごはんは白米ご飯に比べると、ビタミンB2は約2倍、食物繊維は約5倍、
ビタミンB1にいたっては約8倍も含まれています。
そのほかにも、シミ・小じわの予防効果があるといわれるγ‐オリザノール、
強い抗酸化作用があるIP6(フィチン酸)、美白効果や活性酸素消去作用があると
いわれるフェルラ酸など、玄米にはさまざまな有効成分が含まれています。
飲み物としてはもちろん、砂糖代わりにも使えますので、
栄養満点の体にやさしい玄米甘酒スイーツを作ってみてもいいですね♪