私たちの祖先は、生きるためにそこで得られる食べ物を食べ続け、
その遺伝子が子々孫々と受け継がれ、今日にまで至っています。
そのため、国や地域ごとに適した食事もそれぞれです。
モンゴルや北満州、ロシアなどの寒い土地では充分な農耕が
できないため、必然的に肉食中心になります。
肉食は基礎代謝を30%高めて体を温める陽性食品です。
逆に暑い土地、インドなどに多い菜食主義にとっては、
野菜や果物など陰性食品の体を冷やす働きは好都合です。
ニューギニアでは芋類を常食しますが、たんぱく質が不足しないのは、
遺伝的にアミノ酸を合成する腸内細菌を持っているからです。
国や地域によっては、宗教上あるいは言い伝えによる「禁忌食」が
ありますが、これは理に適っていて、寄生虫や腐敗しやすい食品を避けるなど、
食中毒の防止や健康維持に関与しています。
日本の場合は、気候風土から見ると畜産には不利な
条件にあり、やはり農耕中心で海産物を食するのが
適しています。
身体的にも、腸が長く、植物性の食物繊維に適応して
います。欧米人に比べて腎機能は弱く、たんぱく質も
それほど多くは必要としません。
膵臓機能、肝機能も節約型で、飢饉(食べられない時)
に備えている体質のため、過食・飽食で糖尿病や
肥満、脂肪肝になりやすい傾向にあります。
〜世界中の食べ物が手に入ることの弊害〜
日本人は古来、穀物・野菜・魚介類を食物として摂取してきました。
しかし、肉・卵・乳など動物性食品の摂取は少なかったため、
これらの脂肪分を充分に分解する酵素が多くありません。
そのため、動物性食品を過剰に摂取すると
起炎症物質(ロイコトリエン、トロンボキサンチン、
プロスタグランディンなど)が作られやすく、
アレルギー疾患や様々な疾病増加の一因になっています。
花粉症、鼻炎、アトピー性湿疹、喘息、結膜炎などの疾患は、
子どもたちの疾病の中ではダントツの一位です。
先祖代々の食習慣が体質を作ってきているため、
戦後の急激な食生活の変化には対応できないのです。